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zoom RSS 『守りの名将・上杉景勝の戦歴』

<<   作成日時 : 2009/05/14 22:10   >>

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ちょっとひっかかるタイトルです。一読したかぎりでは、「上杉景勝の戦歴」という響きから、合戦データ集のようなものを想像してしまいました。たとえば、谷口克広氏の『織田信長合戦録』(中公新書)のような。でも、違いました。データカタログ化するほど、景勝の戦歴は多くはありませんし、麾下の部将による戦いを含めても、実態がわからないようなものが多いです。
続いて、「守りの名将」。防御に徹するということで、本書の紹介文にもこのようにあります、「家康による『会津攻め』で『北の関ヶ原論』とも呼ばれる、全面対決を想定していたという見方が有力だが、著者は遺構をつぶさに踏査することでこの論を排し、防御に徹した名将の戦術を明らかにする。 」
この「北の関ヶ原論」を排する箇所が、本書第九章に相当し、言うまでもなく、現地調査に主眼を置いてきた著者の真面目といえる部分であると思います。
何が言いたいかというと、本書は「守りの名将」と銘打つのであれば、上杉景勝の「防御」を掘り下げて欲しかったのです。それが、何となく、タイトルに反して、単に「上杉景勝の生涯」といった内容になってしまっています。途中で景勝の存在は後方に押しやられ、秀吉や毛利輝元らの政治動向を追いかける記述になってしまっています。『真説・川中島合戦』(洋泉社新書)で証明されたとおり、ひとつの合戦でもってテーマを掘り下げることができる力量をお持ちだと思いますので、その点が少し残念です。
とはいえ、やはり九章は圧巻です。まさにタイトルにふさわしい内容です。その坩堝である「会津防衛」を中心に据えつつ、謙信以来の武名と誇りを「守る」景勝、上杉家を「守る」景勝、領国を「守る」景勝をオーバーラップさせれば、夾雑物が除かれて、よりテーマがすっきり捉えられたのではないか、と感じました。


守りの名将・上杉景勝の戦歴 (新書y)
洋泉社
三池 純正


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コメント(1件)

内 容 ニックネーム/日時
御館の乱での記述は正直言ってガッカリ感が
大きかったんですけど
北の関ヶ原論に対する疑義と言う点だけで見れば
なるほど、と思われる部分も多かったです。
ただ勢至堂峠の現在の遺構が
景勝時代のものである可能性が低いからといって
切り捨てるような表現は納得いかなかったです。
参考著書の中に石田明夫さんの名前を見出せなかった
ことから余計にそういう思いが強かったですね。
トラマ
2009/05/16 07:48

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