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zoom RSS 『真田信繁──幸村と呼ばれた男の真実』

<<   作成日時 : 2015/11/14 08:50   >>

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2016年大河ドラマ「真田丸」関連書籍が書店をいよいよ席捲しはじめました。ここ最近の大河に関連する出版状況の中でももっとも活況を呈しているのではないでしょうか。

で、いきなり「本命」を取り上げます。
平山優著『真田信繁──幸村と呼ばれた男の真実』(角川学芸出版)です。平山氏はドラマの時代考証を担当するひとりでいらしゃいます。

実は、本書を読む前に、同じ著者の『大いなる謎 真田一族』(PHP文庫)を読んだのですが、ですます調のやわらかい調子の文章で、それでいて内容が濃くてたいへん面白く読みました。そして、本書はいわばエッセンスだった『大いなる──』の正規仕様(言い方変ですけど)。
あの史料が少ない真田信繁(「真田丸」放映によってこの名称が一般にどの程度定着するか興味あります)で四百ページ近い選書となっていることに驚きです。史料博捜で評判の氏が、軍記物あたりを総動員してくるはずもなく、読む前から気圧されて、集中できる時間を確保してからでないと、なかなかページを開けませんでした。
しかし、読み始めると巻をおく能わず、というのでしょうか、これでもかこれでもかというぐらい史料が山積みされ、明快な分析が心地よいです。類書ですと、祖父の真田幸綱、父の昌幸、あるいは兄の信之にページを割いて中盤以降でようやく信繁登場となる本が多い(いわゆる「真田三代」モノ?)のですが、本書は冒頭から信繁、最後まで信繁です。そしてこのボリューム、今後他の関連本を読んでも「ああ、これ平山本に出てたやつね」と、流したり、物足りなくなってしまうのではないかと危惧します。
とりわけ信繁が拠った「真田丸」の古絵図を総動員した分析は、スリリングですらあります。また、著者がツヴァイクを引き合いに、戦局が決定した瞬間を描いた箇所は、これはそのまま今回の大河ドラマの演出に使えるんじゃないかと思うくらいです。

気になったところと言えば、「駿府記」の記述にある大坂方が三派に分かれているというくだり。信繁は融和派と強硬派の中間グループとしていますが、ここはいろいろ意見が分かれるところだと思います。結局、城方も牢人衆も三派(「駿府記」によれば)に分かれつつも、本書における秀頼・家康のまさに「卒啄の機」とでもいったような和睦の真意を汲みとって、下城する者は誰もいなかったわけですから。

あとは、本多成重と本多政重を混同(編集部の校正もれか?)している箇所が複数あったぐらい。二刷ではなおってるかもしれません。

いずれにしても、「見る前に読め!」です。

真田信繁 幸村と呼ばれた男の真実 (角川選書)
KADOKAWA/角川学芸出版
2015-10-23
平山 優


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主な目次は以下のとおり。

序 「不思議なる弓取」と呼ばれた男
第一章 真田信繁の前半生
   一、生い立ちと諱の謎
二、武田氏滅亡後の激動
第二章 父昌幸に寄り添う
   一、北条・徳川・上杉の狭間で
二、豊臣政権下の真田信繁
第三章 関ヶ原合戦と上田攻防
   一、兄信幸との訣別
   二、第二次上田合戦の真相
第四章 九度山の雌伏
   一、父昌幸の死
  二、大坂入城
第五章 真田丸の正体
   一、実像をめぐる諸問題
   二、真田丸の復元的検討
第六章 大坂冬の陣
   一、東西両軍の布陣
   二、真田丸の戦い
   三、束の間の平和
第七章 大坂夏の陣
   一、再戦への道
   二、道明寺合戦
   三、刃を交えた敵、それぞれの事情
   四、真田信繁の最期と豊臣氏滅亡
終 章 真田信繁から幸村へ

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
ご無沙汰してます。
仰せの通りかと思います。
小林計一郎さんの『真田幸村』と読み比べると面白いかも。
大河関連本の中でも良書あり。の例ですな。
三左衛門
2015/11/15 07:37
今回は、関連本の数が半端じゃないですね。玉と石を見分けるのも大変です。
三楽堂
2015/11/19 19:48
仰せの通りです。柴辻さんのも岩田書院から出ましたしね。今年よりも来年はネタに困っていい加減なものがかなり増えるのではと思います。
今年はどうせでしたら『新編信濃史料叢書』の真田家御事蹟稿でも復刻してくれたらいいのに。
三左衛門
2015/11/19 21:05
今、丸島さんの新書を読み始めたところです。柴辻さんの本もそのうち入手するつもりです。
いやはや、去年とは雲泥の差ですね。ライバルは朝ドラかな?
三楽堂
2015/11/21 23:07

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